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バンドブームの話

2020/06/06
 
この記事を書いている人 - WRITER -
菊地椋介
Debbiehemlock(デビーヘムロック)というバンドで作詞と作曲とギターとボーカル。 2012年さよなら、また今度ねのギターとしてコンテストRO69JACKにて優勝。 2015年、関西のフェスRASH BALLにて銀杏BOYZでサポートギターを務める。 同年、MASH A&Rにて入賞。 現在ダニに苦しめられ布団を部屋から全摘出したせいで、新しい寝具が届くまで普通に床で寝てる。 http://debbiehemlock.com/

ここ10年でバンドの立ち位置が随分変わった。

少し前までは芸能人とはまた違った一線の先にいるタレントというか、特殊にもてはやされている人というか。音楽に付随させてそういった売り方ができた時代が終焉を迎え、現在はYouTuber1強の時代となった。

YouTube動画は様々なジャンルを網羅させ、検索も容易であり、個々のニーズの畑を万能に耕してくれる。選択肢が増えた世の中では飽和していた音楽が泡となり、消えている。とても良いことだと僕は思う。

僕は2007年、高校1年生の頃、中学の友達に誘われてギターを始めた。

00年代の一時期にパンクロックが流行った影響もあり、僕がライブ活動をしていた千葉県北西部では、青春パンクがまあまあ盛り上がっており、僕は内心うんざりしていた。

というのも、青春パンクに憧れてパンクする輩はパンクのなんたるかを知らず、パンクを深く掘ろうとも考えようともせず、ただただ目先にいた著名なバンドのモノマネをしているバンドばかりだったからだ。

パンクは爆音で私情を叫び童貞をひけらかすことではない。根底にあるのは深い慈しみと深い憂い、そして優しさなのだ。少なくとも僕は甲本ヒロトのライブからそれを音と言葉でビシャビシャに浴びた。

2010年が少し過ぎたあたりでそういう「ややモノマネパンクバンド」は一気に消えた。淘汰されるべき弱小生物が自然の導きによりいなくなった。「これがブームか」と、僕は後になって気づいた。

新たなバンドブームの幕開けでもある2012年ごろ、僕は活動していたバンドで賞を取り、いい流れでフェスにも出させてもらった。当時は「参加しているバンドの曲が良く、メンバーが良いからここに立たせてもらえているんだ」などと思っていた。

今になって分かったこととしては、それが当時の環境の中で最たる理由ではなく、単にブームの追い風によるものが大きかったなと思う。

2009年のアニメ「けいおん!」よる後押し、スマホの普及により10~20代が気軽にSNSを利用し、生活の一部になっていった事が落ち込んだバンドブームに新しい種火を落としていくような事だった。

僕らは当時、それにうまく乗っかれたのだ。幸運でしかない。

今になって感じていることは、いい曲をいくら書こうが、大多数の人はなんとも思わないという事である。

半数以上の人はひとつの音楽を聴いたところで何にもピンとこない。その時流行っていたり、街やテレビで流れていた音楽とその時その時の状況が結びつき、ようやく脳に記憶されていく。僕らが思っているより、音楽を聴いてときめいたり、泣いてしまったり、勃起してしまったりという人は、ビビるほどに少ないのだ。

そんな日本で無理しながら「音楽を作って食べていこう!」というのは、各方面の需要に合わせる事が得意でないと無理である。ある時を境に僕は「誰かのために音楽を作っているのではないな」と悟った事で、焦ることも何かと競争することもやめた。

次のバンドブームでおいしい思いをするために、曲を作り溜めては動画にしたり、たまにコンテストに応募してみたり、ライブをしたり、好きなことを好きに続けていくだけでいいのだ。

友達は20代後半くらいからみんなバンドやめちゃうよって話

これを読んでいるバンドマンは何歳までバンド活動を続けようと思っているのだろうか。

就職するまでか?結婚したら流石に辞めるのか?それとも26歳になるまでか?

かくいう僕は、「今のバンドで26歳になるまでに売れなかったら辞めよう」と思っていた時期があった。しかし現在28歳。バンドは特に表立って売れる気配を一向に見せないが、辞める気は自分でもびっくりするほど、さらさら無い。

辞める気がなくなった原因が3つある。

まず、音楽が「歳を重ねれば重ねるほど楽しい」ということに気付いてしまったこと。

これは歳を重ねながら音楽をしているとやりたい事がブクブクと出てくるという体験談。

時代の流れに身を任せ受け入れていると、以前は実現不可能だった事がいつの間にかできる時代になっていることに気付く。好きなことはずっとやっていたいので、できそうなことは全部やる。これが無限に続く。

もう一つは年齢に比例して「したいことを抑制させてくる人間」をすべて自分のテリトリーから排除したこと。

世間では親兄弟、親戚、友達、職場から、やれ結婚しろだの、やれ就職しろだのと、とやかく言われ心が折れかけている人がいるだろう。そういった人たちは切ればいいのだ。関係を切ればいいのだ!そんな知り合いは必要ないのだロコちゃん。へけ!

すべて自分が責任をとればいいのだ!誰かから文句を言われないくらい金を稼ぎ、知恵を付け、勉強をし、好きなものに好きなだけ打ち込む環境を自分自身の手で掴むのだ!力なのだ!力こそ正義なのだ!

あと普通に音楽が好きだな、となっていたこと。

こんな純粋無垢で透き通った気持ちある?と自分にお問い合わせしちゃうくらい、音楽が好きだった。コロコロコミックを毎月読んでいたあの頃、あの頃のままさ。小学生のままの28歳なのさ。

これからもたくさんの音楽を聴いて感動したいし、影響されたいし、若いアーティストの作る音楽に「すげぇ…!」となりたいという気持ちが強く、辞めてしまう事が愚行であると感じた。「勿体ない」とかではなく、「愚か」である。

友達は、25歳くらいまでにほとんど、9割強の人たちが音楽をやめた。

みんな理由はまちまちで、結婚したり、好きな事が音楽じゃないと気付いたり、もっと別のことをしたくなっちゃったり。
代わりに地元のヤンキーが地元で「ダチ最高!」みたいな感じのラッパー活動しだしてたの意味わかんなくてよかった。

おわり。

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菊地椋介
Debbiehemlock(デビーヘムロック)というバンドで作詞と作曲とギターとボーカル。 2012年さよなら、また今度ねのギターとしてコンテストRO69JACKにて優勝。 2015年、関西のフェスRASH BALLにて銀杏BOYZでサポートギターを務める。 同年、MASH A&Rにて入賞。 現在ダニに苦しめられ布団を部屋から全摘出したせいで、新しい寝具が届くまで普通に床で寝てる。 http://debbiehemlock.com/

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